昭和6年(1931年)の満洲事変から、昭和20年(1945年)の終戦までの15年にわたった日中戦争・太平洋戦争は、当時の政府が「総力戦」と称したように、従来の国内秩序を打ち壊し、国民全員を巻き込んだそれまでにない戦争でした。また、戦場も沖縄を除き、そのほとんどが中国大陸や南太平洋諸国などのいわゆる「外地」でした。そのため、この間の文化的活動の多くはつねに「大衆」または「外地」に集約されています。
本展では、戦時下に前線の兵士たちと銃後の家族や国民に向けて、日本国内外で刊行された書籍、絵画、絵葉書、地図、宣伝ビラなどをもとに、なぜ「大衆」は熱狂的に戦争に駆り立てられたのか、その背景となる「外地」関連の文化生産がどれほど豊かにあり、またそれにより「国民総動員」がどのようにして文化的に実践されたのか、〈作家と兵士が見た戦場〉、〈従軍画家の描いた大陸前線〉、〈南へのまなざし―画家たちの〝南洋〞表象〉、〈前線と銃後を
支える大衆―ラップナウ・コレクションに見る戦時下の文化生産〉の4章で振り返ります。
ラップナウ・コレクション
令和7年度に国際日本文化研究センターに寄贈されたアメリカ実業家ドナルド・ラップナウ氏のコレクション。約6万点に及ぶ画像資料群に近代日本の戦争や銃後、また植民地に関連する絵葉書や宣伝ビラ、チラシなどを収める。
展覧会チラシ
企画展「戦後80年 戦時下の大衆文化 ー〈外地〉へのまなざしを振り返る」チラシ(PDF)
展覧会概要
会期
令和8 (2026)年1月17日(土曜日)から3月29日(日曜日)
休館日
月曜日、2月12日(木)、2月24日(火曜日) ※ただし、2月23日(月曜日・祝日)は開館
開館時間
午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)
会場
姫路文学館(北館)
観覧料
一般450円 大学・高校生300円 中学・小学生150円
- 20名以上の団体は2割引
主催
姫路文学館、国際日本文化研究センター
協力
京都日本文化資源研究所
監修
劉建輝(国際日本文化研究センター教授)
イベント
井上章一・劉建輝対談「十五年戦争中、作家と画家たちが〈外地〉で何を見て、また国民に何を伝えたか――その歴史と意味を考える」
【姫路文学館友の会研修講座として実施】
日時 令和8年1月31日(土曜日) 午後1時30分から3時(開場は1時)
定員 150名(当日受付順)
参加料 500円(友の会会員、高校生以下は無料)
講演会「顕現と隠蔽ー軍事郵便絵葉書にみる十五年戦争」
日時 令和8年2月21日(土)午後1時30分から3時(開場は1時)
講師 劉建輝(国際日本文化研究センター教授、本展監修者)
定員 150名(無料、当日受付順)

