特別展「生誕100年記念 作家五味康祐展」

五味の柳生か、柳生の五味か

「柳生武芸帳」「二人の武蔵」「薄桜記」など剣豪小説作家として一時代を築いた作家・五味康祐(大正10から昭和55年 1921から1980年)。

大阪に生まれた五味は、劇場を経営する祖父母に育てられました。幼い頃から役者や芸人と接し、経済的にも豊かな暮らしを送りますが、両親がおらず、姉妹とも離れて育ったことは、その内面に影を落とします。中学生の時、作家になることを志し、大学時代に日本浪漫派の大きな影響を受けた五味は、戦中、戦後の混乱期を経て、昭和28年(1953年)、「喪神」で芥川賞を受賞し、ようやく文壇での一歩を踏み出します。時代小説の世界に閉塞感が漂っていた中、五味は柳生一族を将軍家剣術指南役としてだけでなく、政治的な隠密集団として描くことで新しい道を開きました。彼が図らずも剣豪小説を手掛けるようになったのは、少年時代の一時期を宮本武蔵ゆかりの地、兵庫県佐用町で過ごしたことに一因があるのかもしれません。

一方、熱心なオーディオ・クラシック音楽マニアとして知られ、その熱愛ぶりを記した随筆「西方の音」等は、今なお多くの人々と魅了し続けています。

本展は、五味の人物像や作品の魅力、その背景について、後半生を過ごした東京都練馬区の練馬区立石神井公園ふるさと文化館が所蔵する原稿、日記、愛蔵品などを中心に探ります。

 

五味康祐(ごみやすすけ) 大正10から昭和55年 1921から1980年

ごみやすすけの肖像写真

五味康祐 © 新潮社

小説家。大阪市で生まれる。子どもの頃、一時、兵庫県佐用郡佐用町(播磨地方)で過ごす。

早稲田第二高等学院中退後、1943年、明治大学専門部文芸科本科に入学。学徒出陣で中国大陸を転戦。終戦後、捕虜となり南京で過ごす。1946年、復員。歌人・前川佐美雄の門下となり、次いで文芸評論家・保田與重郎に師事する。1947年、文芸評論家・亀井勝一郎を頼り上京する。1949年、前川の妻の妹千鶴子と結婚するも放浪生活を送る。1953年、「喪神」で第28回芥川賞を受賞。「柳生連也斎」で人気作家となり、「柳生武芸帳」「二人の武蔵」など剣豪小説で一時代を築く。クラシック音楽・オーディオマニアとしても知られ、手相や観相学にも通じ、それぞれに著作がある。

 

展覧会概要

会期 令和3年(2021)10月9日(土曜日)から12月5日(日曜日)

休館日 毎週月曜日、11月4日(木曜日)、11月24日(水曜日)

開館時間 午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)

会場 姫路文学館 北館

観覧料  一般700円、大学・高校生400円、中学・小学生200円 未就学児無料

  • 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方(手帳またはミライロIDの手帳画面を提示してください)、及び介護者1名は半額。
  • 20名以上の団体は2割引
  • 常設展示も観覧可
  • クレジットカード・電子マネー等は利用できません。

主催 姫路文学館

特別協力 練馬区立石神井公園ふるさと文化館

後援 朝日新聞姫路支局、NHK神戸放送局、神戸新聞社、産経新聞社、サンテレビジョン、播磨時報社、播磨リビング新聞社、姫路ケーブルテレビ、姫路シティFM21、毎日新聞姫路支局、読売新聞姫路支局、ラジオ関西

 

イベント(イベントはすべて終了しました)

会場はいずれも講堂(北館3階)

記念講演会「五味康祐の求めたもの」

日時 10月9日(土曜日)午後1時30分から3時

参加費 無料

定員 80人(当日先着順・事前申込不要)

講師 山城千惠子(練馬区立石神井公園ふるさと文化館 担当係長・学芸員)

展示解説会

日時 10月30日(土曜日)午後1時30分から3時

定員 80人(当日先着順・事前申込不要)

参加費 無料

講師 担当学芸員

レコード鑑賞会~五味康祐が好んだ音楽より

残されたメモ「LP百選」や、名随筆『西方の音』などに登場する五味康祐が好んだ音楽を、学芸員の解説とともにレコードで鑑賞します。

日時 11月21日(日曜日)午後2時から3時30分

定員 80人(当日先着順・事前申込不要)

参加費 本展観覧券(使用済半券可)が必要


イベント詳細

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