企画展 没後60年記念 歌人岸上大作展

生きている不潔とむすぶたびに切れついに何本の手はなくすとも

20歳の岸上大作

ぼくの生涯はすべて待っていた。何かを。   絶筆「ぼくのためのノート」より

60年安保闘争に日本中が揺れた年の終わりに、21歳の若さで自らの命を絶った歌人岸上大作。当時、安保改定阻止闘争に参加した多くの若者たちのひとりであった岸上は、そのためらいと高揚感を短歌に詠みこんだ夭折の歌人として、そして昭和の青春のひとつの象徴として、読み継がれ、語り継がれてきました。
当館では、岸上のご遺族、また親友であった故高瀬隆和氏が長年にわたって大切に保存されてきた資料を受け継ぎ、収蔵しています。日記や原稿、手紙、断簡に至るまで、彼が短い人生のなかで、驚くほど細かく書き残したものをひもといてゆくと、多感な少年がいかに文学と出会い、文学を信じ、そのかたくななまでの信念に殉じていったかが、悲痛なほどに伝わってきます。彼の作品は、その生硬さ、未完成さゆえに、時代をこえて、それぞれの青春の痛みを味わった人々の心の奥底を揺さぶる力を持っているのかもしれません。
岸上大作が世を去ってから60年。今ふたたび、彼が生きた証しを一堂に展観することにより、その21年の歩みと、彼が命を賭けて短歌史に刻んだ足跡を探っていきます。

岸上大作プロフィール

昭和14年(1939年)から昭和35年(1960年)。
兵庫県神崎郡福崎町に生まれる。5歳の時、父が戦病死。一家を支えて働く母の姿を見て育つ。田原小学校、田原中学校(現・福崎東中学校)、県立福崎高等学校を経て、國學院大學に進学。福崎高等学校在学中より短歌を作りはじめ、地元結社「文学圏」や東京の「まひる野」に参加。大学では國學院大學短歌研究会に所属。自ら同人誌「汎」や「具象」を創刊。昭和35年(1960)、安保闘争を詠んだ連作「意志表示」により、「短歌研究」新人賞に推薦。学生歌人として一躍注目された矢先、失恋を理由に自らの命を絶った。翌年、友人たちの手により遺作集『意志表示』出版。その後も、『岸上大作全集』や高校時代以来の日記を編んだ『もうひとつの意志表示』『青春以前の記』などが刊行され、その短歌作品は教科書にも採用された。

 

開催概要

会期 令和2年(2020年)12月5日(土曜日)から3月21日(日曜日)

開館時間 午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)

休館日 毎週月曜日(ただし1月11日は開館)、年末年始12月25日(金曜日)から1月5日(火曜日)、1月12日(火曜日)、2月12日(金曜日)、2月24日(水曜日)

会場 姫路文学館 北館

観覧料 一般310円、大学・高校生210円、中学・小学生100円(常設展料金)、20名以上の団体は2割引

主催 姫路文学館

 

記念イベント ≪イベントはすべて終了しました≫

会場はいずれも姫路文学館講堂(北館3階)

オープニング記念 福島泰樹講演会福島泰樹氏

  • 日時 令和2年12月5日(土曜日)午後1時30分から3時
  • 講師 福島泰樹(歌人)
  • 演題 「血と雨の歌 没後六十年を迎えた岸上大作」
  • 定員 80人
  • 要申込・11月27日(金曜日)必着(応募者多数の場合は抽選)

 

展示解説会

  • 日時 令和3年2月14日(日曜日)午後1時30分から3時
  • 講師 当館学芸員
  • 定員 80人 当日先着順・事前申込不要

 

舞台「辺境―どこまでいっても」招聘公演舞台「辺境―どこまでいっても」

岸上の絶筆「ぼくのためのノート」を主軸に、その作品世界をリミックスした舞台。

  • 日時 令和3年3月14日(日曜日)

午前の部 11時から12時30分

午後の部 14時から15時30分

  • 作・演出 南慎介(Ammo/Minami Produce)
  • 原作 岸上大作「ぼくのためのノート」
  • 定員 各回50人
  • 要申込・3月6日(土曜日)必着(応募者多数の場合は抽選)

 


イベント詳細

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