枯草の大孤独居士ここに居る
この辞世の句を残して97歳の大往生を遂げた俳人永田耕衣は、現代俳句において、あらゆる意味で先駆者であったとされ、没後20年以上を経て、ますますその存在感を強くしています。
禅に影響を受けた強い宗教性、難解さゆえに俳壇では時に批判の対象となるなか、耕衣の魅力を真に発見し、「俳句を俳句の外に連れ出した」と評して絶賛したのは、違うジャンルの芸術家たち、特に詩人たちであったといわれています。またその類いまれな書も、書家たちを瞠目させました。
55歳の定年後に本格的な活躍をみせ、自らの老いを句作のエネルギーにかえ、90代に入っても果敢に俳句世界を切り拓きつづけた耕衣。彼をモデルに小説『部長の大晩年』を書いた作家城山三郎は、その生き方を「満開人生」と称えました。
当館では、平成7年の阪神淡路大震災で全壊した神戸市須磨区の耕衣居から救出された5千点をこえる資料を保存しています。その中から、その後の研究の成果をふまえた選りすぐりの逸品に加え、新たにご遺族や関係者所蔵の資料、さらに新発見の資料も一堂に公開します。
少年や六十年後の春の如し
耕衣誕生から百二十年後の春。あらためて、孤高の〈俳哲〉との〈出会いの絶景〉を創出できればと考えています。ご期待ください。
展覧会概要
会期 令和2年(2020年)1月11日(土曜日)から4月5日(日曜日)
開館時間 午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 毎週月曜日(ただし1月13日、2月24日は開館)、1月14日(火曜日)、2月12日(水曜日)、2月25日(火曜日)
会場 姫路文学館 企画展示室・特別展示室
観覧料 一般310円、大学・高校生210円、中学・小学生100円(常設展料金)、20名以上の団体は2割引
主催 姫路文学館
記念イベント ≪イベントはすべて終了しました≫
高橋睦郎氏記念講演会「出会いの絶景」
講師 高橋睦郎氏(詩人)
日時 2020年2月22日(土曜日)午後1時30分から3時
会場 姫路文学館講堂(北館3階)
定員 150人(当日先着順)
担当学芸員による展示解説会
日時 2020年3月14日(土曜日)午後1時30分から3時
会場 姫路文学館講堂(北館3階)
定員 150人(当日先着順)